歯は健康な状態で残っているのに口腔機能が低下している、という場合は、お口周りや舌の筋肉が衰えている可能性があります。
加齢や病気でお口の運動能力が低下してしまうと、咀嚼や会話がしづらくなってしまうのです。
そういった場合には、歯科治療ではなく口腔機能のリハビリを行っていきましょう。
お口の筋力を改善するためには「噛む力のリハビリ」「発音のリハビリ」「舌のリハビリ」が大切です。
すぐに改善できるというものではありませんが、継続して行っていただくことで少しずつ機能が回復していきますので、無理のない範囲で取り組んでみてくださいね。
噛む力(咬合力)が弱くなってしまうと、歯ごたえのある食事が億劫になったり偏食になったりと、お食事が満足に楽しめなくなってしまいます。
そうするとさらに噛む力は衰えてしまいます。
噛む力を養うリハビリを取り入れることで、何でも食べられる、しっかり噛める状態を維持していきます。
奥歯をきちんと噛み合わせた状態で、軽くカチカチと噛んでみましょう。
強く噛みしめる必要はありません。これを1セット10秒ほど行います。
ガムをお口に含み、片側20回ずつゆっくりと噛んでいきます。
片側3セットを1日3回、食事の前に習慣付けてみましょう。
発音は、舌や唇などお口の筋肉を動かすことで行います。
人と話す時間が少ない方ほど、いざ話そうとしたときに「口が回らない」「言葉がつまる」ということが起こるようになってしまいます。
発音訓練を行うことでお口の筋肉を鍛え、スムーズな発音や滑舌を改善していきましょう。
「ぱ」「た」「か」の発音は舌・口唇運動機能低下のチェック項目にもあります。
「ぱ、ぱ、ぱ、ぱ、ぱ」と一文字ずつ滑舌よく発音する訓練を行いましょう。
1日3回、食事の前に10回ずつ取り組んでみてください。
「ぱ」は唇の動き、「た」は舌を前に、「か」は舌を後ろに動かす訓練になります。
あいうべ体操は、リハビリ方法の中でもメジャーな方法なのでご存じの方も多いかと思います。
お口を「あ」「い」「う」「べー」と大きく動かして筋肉を鍛えます。
「べー」は舌を出し、お口を大きく開けるイメージです。
どの動きも大げさすぎるくらいの量を動かして下さい。
嚥下とは、ものを飲み込む力のことを言います。飲み込むためには、お口全体の筋肉、特に舌の働きがとても重要です。
舌の力は嚥下、発音、咀嚼などお口全体にとって必要不可欠です。
しっかりリハビリを行い、頑張って鍛えていきましょう。
舌を前に「べー」と3回出す、出した舌を左右に3回動かす、唇に沿うように舌を3回回す。
これを1セットとして1日3回行っていきましょう。
嚥下体操は、お口全体を動かすトレーニングです。
まずはお口をすぼめて深呼吸をしてみてください。次に、首をゆっくり回しながら肩を上下に動かします。そして、頬を膨らませる、縮めるの動きを繰り返します。最後に舌を前後上下左右に意識的に動かしてみましょう。
うまく口が動かない、しっかり噛めないなどの状態は、日常生活に大きなストレスを与えます。
お食事が楽しめない、人との会話が億劫になってしまう…口腔機能低下症はお口の健康にとどまらず、さまざまな問題を引き起こしてしまうでしょう。
しかし、諦める必要はありません。
毎日リハビリを行うことで、舌やお口の筋肉は少しずつ力を取り戻していきます。
そうすると、今まで噛めなかったものが噛めるようになり、むせたり詰まったりしていた不快さを感じることなく飲み込むことができるようになるでしょう。
当院では、患者さんの状態に合わせて適切なリハビリ方法をご提案いたしますので、お気軽にご相談にお越しください。